ToLOVEるの二大ヒロインの一人。彩南高校に通う女子高校生。慎ましやかで真面目な性格の美少女。
もう一人のヒロインである宇宙人のララが、狂言回しとしてストーリーを引っ張る役を受け持っているのに対して、春菜は主人公リトにとって中学生の頃からの憧れの存在であり、王道的なマドンナタイプのヒロインとして対を成している。 

特徴的なのは、春菜もリトに恋をしていて、しかも互いに相手の気持ちに気付いていないという、すれ違いの構図。自分と同じくリトに恋をし、しかもその気持ちを隠さず常に彼の近くにいるララの存在への焦りと、彼女への友情との狭間で悩みつつ成長する春菜は、ヒロインであると同時に本作のもう一人の主人公であるとも言える。3月6日生まれ。作中でバースデーイベントが描かれた為、リトを除けば唯一、誕生日が明らかになっている。

やや引込み思案で、友人たちの中では自己主張よりも和を重んじる。自分を抑えてでも相手を立てるタイプであり、状況に流されやすいきらいもあるが、常に周囲の空気を読み他人を思いやる優しさと気遣い故のもので、決して芯が弱いわけではない。むしろ登場人物の中では屈指の洞察力・判断力・決断力の持ち主であり、他に頼る者のない状況では冷静に仲間をまとめ上げるリーダーシップも持っている。学校でクラスメートからクラス委員に推されるのも、真に適任だと信頼されているからであろう。しかしその彼女も、こと恋愛となると全くの弱気で優柔不断。中学の時以来、好意を抱いているリトに対して気持ちを打ち明けることができずに悶々とする日々を送ってきている。恋愛に関する奥手ぶりは、リトにそっくりであると言えよう。胸の大きさをはじめとして、容姿面でララと自分を比べて若干引け目を感じているような描写もある。

学業成績は優良な方と思われる。女子テニス部で活動しており運動も苦にするタイプではない。その春菜が大の苦手としているものが、幽霊や妖怪。そして恐怖が極限に達すると、ごく普通の少女であるはずの春菜が、ゴリラやヒグマもかくや、というような怪力で暴走する。一旦キレると普段の冷静さや淑やかさは何所へやら、手近にある物体（劇中ではまずリトである）を猛然と振り回し、周囲に見境無く叩きつけ粉砕しまくる。作中は現実に幽霊や妖怪の類が出没する世界なので、デートで春菜をオカルトスポットに誘い出そうという命知らずには、リト並みのタフな肉体が必要であろう。

親元を離れ、姉・秋穂の暮らすマンションに同居して高校へ通っている。家賃代わりに何かと雑用を言いつけられているらしいが、姉妹仲は良い。仕事で家にいない姉に代わって、マロンという犬の世話をしている。姉の飼い犬ではあるが春菜もこのマロンを大変可愛がっており、恋の悩みを話して聞かせることもあるらしい。

春菜のリトへの想いを知る者は少ない。人語を解する犬のマロンは別として、春菜に憑依してその心を見た幽霊のお静、そして異様に察しの良いリトの妹・美柑、そしてその母・林檎くらいであり、語り合えるのはお静だけという状況が長く続いていた。しかし現在では春菜自ら、ララに自分のリトへの気持ちを告げ、孤独な恋ではなくなっている。リトに対してではなく、まずララにというところに春菜の誠実さと、ある意味で弱さも表れているが、春菜自身は「やっと少し前に進めた」と前向き。そんな春菜の真摯な思いは、ララにリトとの距離の取り方を考え直させる大きなきっかけともなっており、春菜が踏み出した一歩は、リトを巡る三角関係の新たなステージのスタートでもあった。