『いいな、今日からはお前があの女の代わりをするんだ。ハァッ、ハァッ』
『いやだよぉっ…、お父さんっ怖いよ、やめてお父さんっ、あぁっ!』
床に押し倒された皐月に覆い被さる父は、皐月のキャミソールを脱がすのももどかしいかのように引き裂き、無垢な白のショーツを引き摺り下ろす。
『いやぁッ!』
恐怖に全身を強張らせて抵抗もおぼつかない皐月の白く幼い裸身を、酒臭い息を吐出す口で舐めまわす父親の瞳に映るのは、すでに愛娘ではなく、哀れに怯える性の生贄の姿だった。
『…いいか、どうせ大人になればいつかはする事だ。当たり前のことなんだからなっ。…へっ…ふへへ…』
ジッパーの開く音に皐月が目線を下げると、かって見たことも無い、異様な形に膨れ上がった父親のペニスが、濛々と渦巻く黒い茂みの中から屹立していた。
『ひ…ッ!』
驚きに息を呑む皐月の、まだ固く閉じ合わさったスリットに舌先を押し当てて執拗に唾液を塗りつけると、父親はカチカチになった熱いペニスの先端で狙いを定める。
『いくぞ…力抜け…。む…ンッ!』
『ひぁッ…!イッ、痛ァァーッ!』
身を引き裂く痛みを引き起こして亀頭が潜り込んだ瞬間、絶叫とともに皐月の意識は真っ白に消し飛ぶ。どのように嬲り尽くされたのか記憶の無いまま、気が付いたときには、幼過ぎる秘唇の奥底に、父親の肉欲の証を大量に撒き散らされていた。
『…あぁ…ぁ…』
大きな瞳は見開かれたまま、視線は宙をさまよう。溢れる涙に同調するかのように、父親のモノが抜き出された股間からは、白濁した欲望がトロトロと溢れ出す・・・・。
(…あ…?)
満足げに口元を歪める父の顔が涙にぼやけていったかと思うと、ふたたび皐月の視界で輪郭を取り戻していく世界に父の姿はなかった。
「ピピピピッ、ピピピピッ、ピピピピッ、ピピピピッ・・・」
断続的な電子音が皐月の意識を覚醒させてゆく。
『…夢…?』
シーツの上に身を起こしたのは、14才の皐月。午前7時前だ。初夏の朝の空気はまだひんやりとしていたが、皐月は全身汗だくで、寝巻きはしっとりと濡れていた。
(また…あの夢だ…)
皐月は膝を抱えて肩を震わせる。逃れることのできない悪夢はこの数年、皐月の夜を脅かし続けていた。そして近頃では…
(う…また…。…あんな夢で…濡らすなんて…っ)
一際、冷たくべっとりとした下着の感触に嫌悪感を催す皐月。それは自分への嫌悪でもあった。今股間をべっとりと濡らしているのは汗ではない…。
(あんな…男と同じ血が流れているから…ッ。…だからッ…)
残酷な記憶にさえ反応してしまう自分の身体の変化に皐月は戸惑い、己を呪う。
『…死んじゃえ…っ』
小さく呟く皐月。今まで何度となく口を突いて出た言葉。今は誰に届くこともなく耳朶で反芻される言葉。いつか誰かに正面からぶつける時が来るのだろうか。
誰に…? 父に…?父以外の誰かに…?
答えを得られることもなく、皐月にまた夏がやってくる…。